ステンドグラス　花

花をモチーフにしたステンドグラスは、古くから教会の窓や住宅の装飾として愛されてきました

その魅力は、単なる「絵」としての美しさだけでなく、光という動的な要素と組み合わさる点にあります

1. 光による「表情」の変化

花モチーフの最大の特長は、時間帯や天候によって見え方が劇的に変わることです

• 朝の光： 瑞々しく、透き通るような花びらを再現します

• 夕方の光： 赤やオレンジのガラスが強調され、温かみのある深い色合いに変化します

• 夜間： 室内からの明かりで、外からは花が浮かび上がるように見えます

2. 自然の造形美と「曲線」の表現

ステンドグラスは、ガラスを繋ぐ「ケイム（鉛線）」や「カッパーテープ」のラインが重要です

• 花の茎や花びらの柔らかな曲線は、直線的なデザインよりも有機的で優雅な印象を与えます

• アール・ヌーヴォー様式（ティファニーランプなど）に代表されるように、植物のしなやかさを表現するのに最も適した題材です

3. 多彩なガラスのテクスチャ

花びら一つを表現するにも、さまざまな種類のガラスが使い分けられます

• オパールセント・ガラス： 乳白色が混ざったガラスで、花びらの厚みや質感をリアルに表現します

• ゆらぎのあるガラス： 表面に凹凸があるガラスを使うことで、風に揺れる花や水辺の風景のような「動き」を感じさせます

4. 空間への心理的効果

花は「癒やし」や「華やかさ」の象徴です

• 季節感の固定： 例えば「桜」や「バラ」のデザインを取り入れることで、一年中その花の持つ美しい雰囲気を室内に留めておくことができます

• プライバシーの保護： 花のデザインを密に配置することで、外からの視線を遮りつつ、明るい自然光だけを取り込むことができます